2008年12月29日月曜日

29.医学対宗教

仏教では生老病死といって人は老い、病にかかり、死んでいく運命にあります。昔の人は、家で生まれて家で死にました。今の人は、病院で生まれて病院で死にます。生と死が家の中になく、身近なものではなくなったのです。現代人は、この原点を忘れています。もともと人間とは、病院で生まれて、そこで死んでいくという存在ではなかったということです。
どんな未熟児も集中治療室の中で生かせてもらえる、年をとって病気になっても病院や介護施設で長生きさせてもらえるのが、当たり前と思っているのではないでしょうか。確かに医学の進歩によって、ガンやエイズが治る時代は来るでしょう。あらゆる病気に対して、医学はこれからも対決し挑戦していくことでしょう。だからといって、医学を100%信用してもいいものでしょうか。医学に100%頼り切っていいのでしょうか。
医学と宗教は対立関係にあります。医学が発達すれば、人々は宗教を捨てて医学に走ります。医学で治せなければ、宗教に走ります。人間とは勝手なものです。
しかし、医学が永遠に治せない病があります。それは、病の終わりに来る死という名の病です。死は治すことはできません。死だけは避けられません。死に対して医学は無力です。
だから、無駄な延命治療を続けるよりも、死と向かい合う心の持ち方が重要だといいたいのです。だから、最後には宗教あるいは宗教心が必要になると考えています。

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