2008年12月15日月曜日

20.延命治療について

慶應義塾大学の近藤誠先生によると、老衰という死に方が減っているようです。1918年には人口10万人あたり178人が老衰で死んでいましたが、2001年には10万人あたりたったの25人です。総人口に占める65歳以上の割合は1918年が5%で、2001年が17%です。
老齢人口が激増しているのに、老衰による死は反対に激減しているわけです。その原因は、死因がガンだと診断される事例が増えたからだそうです。ガン・心臓病・脳卒中の三大死因のうち、心臓病と脳卒中は発作があるので昔も診断が容易でした。ところが、昔はガンが死因でも解剖したりしなかったので、老衰による死とされたようです。ガンは治療せずにおくと、老衰のように楽に死ねることが多いといいます。ガンにかかると苦しむという印象があるのは、術後の後遺症や薬の副作用と混同しているからとのこと。手術で病巣を切除すると、延命効果がある場合が多いが、転移の危険性があります。そして、転移のために苦痛が生じることになる。
だから、老衰のような死に方を理想とするなら、ガンを無理やり治療しないほうがいい場合もあると、おっしゃっています。
手術して延命し苦痛と戦うのか、ガンのまま枯れるように老衰で死ぬのか、どちらが幸せなのかと問いかけておられます。(明日につづく)

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