2008年12月10日水曜日

17.年寄の心得ー間伐

間伐とは混みあった森林から、曲がったり弱ったりしている杉や桧(ひのき)などの針葉樹を抜き取り、森林の中を明るく保ち、木を真直ぐに育てるために必要な作業です。
間伐を行わなかった森林では、樹木の成長が遅く、根を張ることも難しくなります。また、森林の中が暗く太陽光線が届かないため、下生えも生えないので水源滋養力、土壌保全能力が低くなります。つまり間伐は、土砂災害防止のために、重要な作業なのです。先日の東北の地震でも、土砂崩れによる人身事故がありました。そして間伐は、森林を育てるという意味があります。森林が育てば、CO2が削減され、地球環境保持に貢献できるのです。
50年前に44万人いた林業従業者は、現在5万人にまで減っているそうです。間伐が行き届かず、CO2を削減すべき環境は悪化しています。間伐を行わないことにより、細く弱い木が樹立している状態を、「線香林」、「もやし林」と呼ぶそうです。低開発国の恵まれない極貧の子供たちを、思い浮かべてしまいました。
間伐を人間に結びつけるのは、不謹慎と思われるかもしれません。しかし、「楢山節考」に書かれているように、限られた土地で限られた食糧しかなければ、全部に行き渡りません。一部に行き渡らない場合、行き渡らないところは餓死してしまうけれども、残りは助かります。最悪なのは全体に行き渡らなくて、全体が徐々に死んでしまうことです。
曲がったり弱ったりしている木を、間伐することによって、森林全体を生かすことが最も重要なのです。ともかく間伐という概念を、これからの年寄は、頭の隅においておく必要があるのではないでしょうか。(明日につづく)

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