2008年12月12日金曜日

19.医学の恩恵

人間は古来、歯・目・生殖機能が衰えてくると老化現象だといわれました。いずれも手の施しようがなかったからです。
歯については歯医者はおらず、西洋では散髪屋などが、「抜き」専門でやっていたようです。抜ければそのままの状態で、放置せざるを得なかったのです。よく動物は、歯が抜けてなくなる時が、死ぬ時だといわれます。人間も昔は動物と同じでした。しかし歯学の発達によって、歯が抜けたあとも入れ歯で食物を摂取できるようになりました。歯科技術の発達が、人間の長生きの原因の一つなのです。
私の祖父は、総入歯(そういれば)でした。上下の入歯を食事のたびに、入れたり出したり苦労していたのを思い出します。口腔にくっつけるタイプのものでしたので、唾液の分泌は不十分で、食事はおいしくなかったと思います。それでも、84歳まで長生きしました。
もし、この世から歯医者がいなくなったら、人の寿命は間違いなく縮まることでしょう。ともかく、歯だけでなくすべての医療分野において、知識や技術が発達しました。
その恩恵を最もこうむっているのが、年寄なのです。病院を集会所と勘違いしたり、人間ドックなどの検査が趣味という年寄が多すぎます。病院に治療ではなく、安らぎとか安心を求めにいっているのでしょうか。人間としては、自分で自分を守るという姿勢が大事だと思います。自分一人の力では治りそうもないと感じた時に、はじめて医者にかかるべきです。風邪がいい例です。風邪をひいていろいろ試したが、治りそうもないと感じた時に医者にいくのです。よく早期発見で助かったという話を聞きますが、検査で発見するのではなく、自分自身の感性で発見できるように心を磨く方が先決です。検査でなくては発見できない病気があることは、理解できます。しかし、何か変だとか痛いとか感じたら、すぐに病院に行くというのは、最近できた習慣です。人類の長い歴史から見れば、たったこの数十年にできた習慣に過ぎません。昔の人はそんな風には行動しませんでした。風邪気味だと思ったら早く寝るとか、玉子酒を飲んで布団を頭からかぶって汗を大量にかくとか、ともかく自助努力で治そうとしました。これが当たり前のことでした。
現代人は、医者に頼りすぎです。特に老人医療の無料化という最悪の制度ができてから、この傾向は増大しています。自分の感性や自助努力ということを、もう一度考え直してもらいたいものです。(月曜日につづく)

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