2008年12月4日木曜日

13.大昔の釣り

昔の釣りは釣れなくて、大変だったろうと思います。石の釣針を使っていた時代はともかく、銅や鉄で作った針でも、現在のような精巧で強靭なものとは、比べものにならないような代物だったでしょう。糸もナイロンなどなかった時代ですから、糸を撚り合わせたひものようなものを使っていたものと思われます。棹(さお)はカーボン製ではなく、竹でした。リールももちろんありません。
私も釣りは好きですが、現在のように恵まれた道具を使った釣りでも、大きな魚が釣れた時は本当にうれしいものです。現在に比べて、道具に恵まれなかった時代は、魚がなかなか釣れなかったと思います。だから釣れた時の喜びは、現在と比べようもないほど、大きかったのではないかと想像します。感動の大きさが違うと思うのです。
道具に恵まれず、あまり釣れないけれど、そのかわり釣れた時の感激は、至上のものだったに違いありません。中国のことわざで、あらゆる道楽の中で釣りに勝るものはない、という話を聞いたことがあります。それほど魅力的だったのでしょう。
昔は、「釣る」という行為の中に、感激や喜びが今以上に凝縮されていたのではないでしょうか。
人生についても、釣りと同様のことがいえるのではないかと思うのです。衣・食・住すべての面において、昔と現在とでは比較にならないほど便利になりました。
しかし、人生の感激や喜びという点においては、優劣はつけられないと思います。かえって昔の方が、感激や喜びが凝縮されていて、それを大きく感じたのではないでしょうか。(明日につづく)

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