2008年11月18日火曜日

2.続・殺人の動機

革命、一揆、暴動、内戦。
不満を持った民衆が、立ち上がります。その原因は、「不平等」の一語に尽きます。人類の歴史が始まって以来、ほとんどの争いの原因は、「不平等」でした。そしてその不満の矛先は、不平等によって得をしている人たちに向けられます。飯を食えない人々の、飯をたくさん食っている者に対する不満。米を少ししか収穫できなかった百姓の、年貢米を取り立てる代官に対する不満。給料が少ない労働者たちの、豊かな経営者に対する不満。重税にあえぐ国民の、国や官吏に対する不満。
革命、一揆、労働運動など、過去の戦いは分かりやすかった。誰が誰に対して戦いを挑んでいるのか一目瞭然でした。
①誰と誰が(敵味方に分かれて)、
②何をめぐって(何を目的として)、
③どう戦う(何を取り合う)
のか、ハッキリしていました。
たとえばサッカー。
①AチームとBチームが敵味方に分かれて、
②試合の勝利を目指して、
③得点を取り合う
といった具合です。
今、ふるさと税が話題になっています。地方税を今住んでいるところだけでなく、希望すればその一部を自分の故郷にも振り分けることができる制度です。これなどは、
①都市対地方で、
②財政健全化(再建)を目指して、
③税金を取り合おう、としているのです。
このように、①WHO,②FOR,③HOWがハッキリしています。ところが最近の殺人事件は、この3点が不明朗です。特に、②のFORがよく分からないのです。何を目的として、そのような行動をとったのか本人ですら分からないのです。殺人だけに限らず、最近の事件を見ていると、このようなわけの分からない行動をとる人たちが増えていることを実感します。しかし、過去にもわけの分からない事件はたくさんありました。昭和初期などは、常識にかからない事件が多発した時代です。猟奇的殺人事件についても、過去にたくさん例があります。さらに、残酷な殺し方という点においては、織田信長などその際たるものでしょう。だから最近の殺人事件の内容に関しては、さほど驚いてはおりません。問題は、その数です。わけの分からない事件が多すぎると思うのです。今まで潜在化していて見えなかったものが、顕在化してきているのかもしれません。今まで黙ってじっと押し殺してきた人間の感情が、殺人事件が起こることによって呼び覚まされるのでしょう。事件を真似る人間が急増しています。その規模は、過去最大といっていいのではないでしょうか。
誰に対してどのような理由で、不満を持っているのかが分かれば、解決方法はあります。一番困ったことは、それらが不明なことです。(明日につづく)

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