2009年2月18日水曜日

55.派遣社員

以前、派遣社員の心根に触れた経験があります。専門職の女性派遣社員4人の机と、2メートルほど離れた場所に、部署は違いましたが1年間ほど座っていたことがあります。彼女たちは優秀で、学歴も正社員より上のようでした。男性課長よりも優秀なのは、誰が見てもすぐに分かりました。仕事も手際よく英語がしゃべれるので、外国人から電話がかかってきてもうまくこなしていました。正社員は、外国人からの電話には逃げ回っていました。そんな彼女たちですから、正社員に対する不平等感を持っています。給料・休暇・契約期間など、正社員とは雲泥の差です。一番のコンプレックスは、契約期間がきたらよほどのことがないかぎり、クビになってしまうことです。その4人の派遣社員が座っている付近は、独特の雰囲気がありました。拗ねているというか、諦めというか、そんな態度や会話が鼻につくのです。ちょっとした点数の差か、何らかの偶然で正社員になれず、やむなく派遣会社に登録している無念さやあきらめの混ざった感じが伝わってきます。作業中心の製造業の派遣社員とは違い、サービス業においてはこのような微妙な空気が流れているのです。多くの会社の中に今、これと同じような空間がたくさんできていると思うのです。
彼女たちはまだましです。少なくとも2年間の契約期間は、致命的なミスがないかぎり仕事にありつけるからです。悲惨なのが日雇い派遣です。明日仕事があるのかないのか、あればどんな仕事で場所はどこなのか、連絡があるまで分からないのです。まじめな人ほど、恐怖の生活を送ることになります。仕事が少ない時は、食事の回数を減らすそうです。まさに江戸時代の飢饉のときの、水呑百姓のようではありませんか。(明後日につづく)

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